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2012年3月 6日 (火)

大鹿村騒動記

仇も恨みも是まで是まで


予告編

【あらすじ】
大鹿村には伝統的に300年以上も続く歌舞伎があり、村人たちはその歌舞伎を演じることを生き甲斐にしていた。ディアイーターという食堂を営む善(原田芳雄)ももちろんその1人である。彼は18年前に妻の貴子(大楠道代)を親友の治(岸部一徳)に奪われた、しかもその二人は駆け落ちしてしまったのである。そして現在、公演まであと5日といった時期にその二人がひょっこり帰ってくる。「貴子ちゃん記憶が無くなちゃって俺のこと善ちゃんて呼ぶんだよ。もう手におえないから返す。」という治の言葉に善は唖然とする。村人たちの間では様々ないざこざがあり練習が捗らない、もちろん善も身が入らない。300年続く伝統歌舞伎を今年も開催できるのか…


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阪本順二監督作品。
2012年、日本アカデミー優秀主演男優賞を原田芳雄が受賞しました。
この映画の公開三日後に彼は帰らぬ人となってしまったので遺作となります。

先日、日本アカデミー賞が開催されたので旬の話題ということで取りあげたいと思います。


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実在する大鹿村という場所でこれまた実在する300年もの伝統がある大鹿歌舞伎を題材としています。18年の歳月を経て、奪われた妻が記憶障害になり帰ってきます。妻は「善さん善さん」と駆け落ちしたことも忘れています。稽古に全く身が入らなくなってしまう善さん。かといって親友で妻を奪った治を胸ぐらを掴みながらも家に泊めてあげるのが彼の人が良いところです。一組の老夫婦が18年の歳月を経て再会し再び一緒に生活を始めます。妻の記憶は戻るのか、歌舞伎は予定通り公演できるのか?

この映画で面白いのが最近の話題を惜しみなく盛り込んでいる点。村はリニアの線路建設問題に悩まされていたり、地デジチューナーを取り付けるシーンが登場したりと時代を感じる作品になりました。そんな中、登場するのはおじいさん連中ばかり。原田芳雄はもちろん、岸部一徳、石橋蓮司、三國連太郎などなど。中でも三國連太郎はいまだ健在です。映っているだけで放たれる存在感には彼のキャリアを感じずにはいられません。あぁこの人はこんなに自然に泣ける人なんだと初めて知りました。三國連太郎が映画界で三國連太郎であり続ける所以を垣間みれたような気がします。まだまだ観なければならない映画は多いようです。渋い!!燻し銀!!

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この映画ではいろんな人が泣きます。子供じゃないです、いい年した大人が泣きます。僕みたいな若造が言うのもなんなんですけど年を積み重ねると色々なことを経験するんだと思います。それこそ親友に妻を奪われたり、妻が記憶障害になったり、仲間が戦場で死んだり。それはそれは誰しもが波瀾万丈だと思います。さらに多くの仇や恨みが生まれるのも人生ではないでしょうか。この映画で演じられる歌舞伎のラストでは自分の望んでない未来など見たくないと主人公は目をくりぬいてしまいます。そんな歌舞伎に対して「大鹿村騒動記」は名言を放ちます。

「好きなものを見れるなら嫌なものでも見る。」

これはいい台詞だと思いました。好きなことをするためには我慢しなくてはいけない、努力しなければいけない、こんな風にも捉えることができる台詞だと思います。


さらに「仇も恨みも是まで是まで」というこの作品の主たるメッセージがたかだか20年ほどしか生きていない僕の心に突き刺さりました。こんなことはきっと今の僕には言えないでしょう。信じられないような裏切りをされても「恨みはこれまでだよ」なんて言えるほど人間できていないです。出演者、制作者、脚本家から年の功を感じます。年を積み重ねているからこそ言える言葉でもあるし、楽しく人生の最終章を生きる術であるのかもしれません。また原田芳雄が言うからこそ気迫を感じるんです。多くの映画ファンにスクリーンから残した最後の言葉が「仇も恨みも是まで是まで」。彼の役者人生を全てかけたような、そして人間としてのすべてをかけた様な言葉にジーときてしまいました。間違いなく映画史に残る名言だと思いました。


妻に忘れられてしまうという悲しいストーリーですが映画自体は全く暗い演出ではありません。コミカルに演出されています。脇を固める岸部一徳や石橋蓮司、松たか子、佐藤浩市が楽しいキャラクターで物語は笑いで溢れています。また歌舞伎に熱狂する老人たちの姿には元気を貰えます。実際にエキストラとして300人の大鹿村人が出演していることも熱狂っぷりを再現できた要因じゃないかな。
エンディングテーマは忌野清志郎「太陽の当たる場所」です。これまたテンション上がりますよね!!


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名優、原田芳雄の遺作です。彼は様々な作品で映画ファンを楽しませてきました。皆さんは彼の好きな作品はありますか?僕はナインソウルズという作品が好きです。燻し銀が効きながらも茶目っ気を魅せる彼の演技が好きでした。俳優、原田芳雄の台詞ひとつひとつに注目しながら最後の作品を堪能してください。

評価【★★★★☆】

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